第四章　日蓮正宗の信仰

　

　大聖人の仏法を血脈相承をもととして、末法万年に正しく伝えていくことが「令法久住」であり、その正法が全世界に弘まることを「広宣流布」といいます。

　『報恩抄』には「日蓮が慈悲曠(こう)大(だい)ならば南無妙法蓮華華経は万年の外(ほか)未来までもな(流)がる(布)べし。日本国の一切衆生の盲目をひらける功徳あり」（御書　一〇三六頁）と仰せです。「令法久住」と「広宣流布」とは、「法を正しく久住させる」時間的な縦の流れと、「広く正しく流布せしめる」地域的、空間的な横の広がりという、不離の関係にあるといえましょう。

　大地から幹が伸びるすがたを「令法久住」、幹から枝が繁るすがたを「広宣流布」に譬えることができます。幹から離れた枝は枯れますが、幹からは再び新しい芽を吹き出します。その幹は血脈相承ですから、歴代の御法主上人を誹謗する創価学会が、いかに「広宣流布が進んだ」といっても、所(しょ)詮(せん)、枯れ枝となるのは明白です。

　本門戒壇の大御本尊と唯授一人の血脈相承の「令法久住」があってこそ、万年にわたる一切衆生成仏の「広宣流布」が成就するのです。

　

　　解　説

　創価学会は、自らが「広宣流布を実現した仏意仏(ぶっ)勅(ちょく)の団体」であることを盛んに言い募(つの)ります。しかし広宣流布と言っても、いかなる法を「広く正しく流布せしめる」のか、ということが重要です。

　かつて、総本山第六十六世日達上人は、

「日蓮正宗の教義が、一閻浮提に敷衍していってこそ、広宣流布であるべきであります。日蓮正宗の教義でないものが一閻浮提に広がっても、それは広宣流布とは言えないのであります」（日達上人全集）

と仰せられ、広宣流布と言っても、その弘めるべき法はあくまでも日蓮正宗の正しい教義でなければならないと、厳しく誡(いまし)められました。

　また、日蓮大聖人は『四恩抄』に、

「仏宝・法宝は必ず僧によて住す。（中略）仏法有りといへども僧有りて習ひ伝へずんば、正法・像法二千年過ぎて末法へも伝はるべからず」（御書　二六八㌻）

と示されています。ここに仰せの「習ひ伝へ」るとは令法久住のことに他なりません。そして、「僧によりて住す」との仰せを根本のところから拝すれば、習い伝えるべき仏法の本義が、大聖人から歴代の御法主上人猊下へと伝えられることを指しているのです。まさに大聖人が『日蓮一期弘法付嘱書』に、

「日蓮一(いち)期(ご)の弘法、白蓮阿闍梨日興に之を付嘱す」（同　一六七五㌻）

と示され、さらに第二祖日興上人も、

「極(ごく)理(り)を師伝して」（同　一八八四㌻）

と遺(ゆい)誡(かい)あそばされる唯授一人の御付嘱こそ「令法久住」の根本であり、この御付嘱あってこそ仏法が「久しく住する」ことが叶うのです。

　すなわち、この「唯授一人の血脈相承」を蔑(ないがし)ろにして「令法久住・広宣流布」といくら万言を重ねても、それはまさに幹から離れた「枯れ枝」のごとく虚(むな)しいものなのです。

　私たち日蓮正宗僧俗は、

「此の経は相伝に有らざれば知り難し」（同　九二㌻）

の御金言の通り、代々の御法主上人に伝わる相伝の仏法を正直に習い伝えてこそ、令法久住・広宣流布のお役に立たせていただけるということを忘れてはなりません。

　日達上人は前掲の御指南に続いて、

「日蓮正宗の教義でもなく、大聖人の教義でないものが、世界に広がったからといって、決して我々は喜ぶべきでもないし、大聖人がお喜びになるとは思いません」（日達上人全集）

とも仰せられました。その「日蓮正宗の教義」「大聖人の教義」は厳然と富士大石寺に伝持され、現御法主日如上人猊下の御所持あそばされるところなのですから、真に大聖人の教義を信じ、御遺命たる広宣流布をめざすならば、令法久住の根源である血脈相伝の日蓮正宗に帰依し、御法主上人の御指南のまま正法流布に我が身を投ずるべきです。

　広宣流布とは「広く正しく流布せしめる」ことであり、「流布する」という実践が何より大切です。私たちは誓願成就・御命題達成へ向け、なお一層の折伏行に精進しましょう。