第一章　日蓮正宗の本尊

Q２、日蓮大聖人はなぜ御本尊を顕わされたのですか。

　

　日蓮大聖人は、末法のすべての民衆を救済するために御本尊を顕わされました。

　『観心本尊抄』に「一念三千を識(し)らざる者には仏大慈悲を起し、五字の内に此の珠(たま)を裹(つつ)み、末代幼稚の頚(くび)に懸(か)けさしめたまふ」（御書　六六二頁）と仰せです。

　日蓮大聖人は、末法の時代に出現され、御本仏としての化導のうえから、末法適(ちゃく)時(じ)の大法を弘められ、全世界の民衆に即身成仏の大利益を得せしめんがために「本門戒壇の大御本尊」を顕されました。

　日寛上人は、『文(もん)底(てい)秘(ひ)沈(ちん)抄(しょう)』に「本尊とは所(しょ)縁(えん)の境(きょう)なり」（六巻抄　四二頁）と示され、妙楽大師の「正(しょう)境(きょう)に縁すれば功徳猶(なお)多し、若(も)し正境に非ざれば縦(たと)い偽(ぎ)妄(もう)無けれども亦(また)種(しゅ)と成らず」の文を引用して、正境、すなわち正しい御本尊によってのみ、一切衆生は成仏できると指南されています。

　『報恩抄』に「日蓮が慈悲曠(こう)大(だい)ならば南無妙法蓮華経は万年の外(ほか)未来までもながる(流布)べし。日本国の一切衆生の盲目をひらける功徳あり。無間地獄の道をふさぎぬ」（御書　一〇三六頁）と仰せのように、御本仏日蓮大聖人の広大な慈悲が御本尊として顕され、一切衆生の成仏道が開かれたのです。

　

　解　説

　御本尊とは大聖人様の大慈大悲の御当体

　御本尊とは、私たちが人生の根本として信仰・礼拝する対象を言います。

　しかし、どれほど教法が尊くとも、それを覚知して示される方がいなければ、誰一人として、その相(そう)貌(ぼう)を拝することも、その尊さを実感することもできません。

　御本仏日蓮大聖人は、自身の御内証を、

「日蓮がたまし(魂)ひをすみ(墨)にそめながしてかきて候ぞ、信じさせ給へ」（御書　六八五㌻）

と、末法の私たちが信仰し仏道を成ずるための、最高真実の御本尊として顕してくださいました。即(すなわ)ち現在総本山に在(ましま)す、本門戒壇の大御本尊です。

　さらには広大なる御慈悲を万年の外(ほか)未来まで流すべく、この根本の大御本尊をはじめ、御内証にかかる一切の法を二祖日興上人に御付嘱あそばされました。したがって戒壇の大御本尊の御建立と日興上人への御付嘱は、尽未来際にわたる一切衆生救済のための根幹なのです。

　そしてその大慈悲の流れは、大聖人・日興上人からの血脈として代々の御法主上人猊下に継承され、その権(けん)能(のう)によって授与され、はじめて御本尊を寺院や自宅へお迎えできるのです。

　末法の私たちはこの血脈の流れに正しく随順することで、即身成仏という大功徳を得ることができるのです。

　

　創価学会の大謗法

　創価学会は、この尊い血脈相伝の御本尊の真義を曲げました。総本山第二十六世日寛上人の御本尊を、宗門から離反した謗(ほう)法(ぼう)僧(そう)による申し出を受けたという形をもって、勝手に変造・複製して配布したのです。この偽造本尊は、血脈が断絶し、創価学会の憍(きょう)慢(まん)謗法が篭(こ)められた『ニセ本尊』です。

　日寛上人が、

「本尊とは所縁の境(きょう)なり。境若し邪なる則(とき)んば智行も随って邪なり」（御書文段　五四〇㌻）

と仰せのように、信仰の対境である本尊が邪(よこしま)な偽造物であれば、それに基づく信心も修行も教学も邪な誤(あやま)ったものとなり、それを実践する者が生命を濁らせてゆくことは因果の道理です。

　このような『ニセ本尊』を作成し、真正の御本尊より目を背けさせる行為は、大聖人様の広大なる御慈悲を踏みにじり、一切衆生の「目を閉ざし」「無間地獄の道を開く」ものです。この恐ろしい大謗法罪が許されるはずもありません。

　事実、創価学会においても以前は、

「邪宗がいくら日蓮正宗の御本尊をマネテ作ってみたところが、それこそ馬の骨なのであります。否、恐ろしい毒薬の働きをもつのであります」（大白蓮華第六十二号　二十八㌻）

と指導していたのです。

　私たちは、創価学会員に対し「創価学会発行の『ニセ本尊』は、御本仏大聖人様の大慈大悲を蔑(ないがし)ろにする大謗法の魔仏である」ということをはっきりと示し、折伏してゆくことが肝要です。