第一章　日蓮正宗の本尊

Q１、日蓮正宗の正しい本尊について教えてください。

　

　日蓮正宗の正しい本尊は、「日蓮正宗宗(しゅう)規(き)」第三条に「本宗は、宗祖所顕の本門戒壇の大漫荼羅を帰(き)命(みょう)依(え)止(し)の本尊とする」と、明確に定められている「本門戒壇の大御本尊」です。

　この大御本尊は、宗祖日蓮大聖人が『聖人御難事』に「此の法門申しはじめて今に二十七年、弘安二年^太歳_己卯なり。仏は四十余年（中略）余は二十七年なり」（御書　一三九六頁）と仰せのように、御本仏の出世の本(ほん)懐(がい)として顕わされました。

　第二祖日興上人の『日興跡(あと)条(じょう)々(じょう)事(のこと)』に「日興が身に宛(あ)て給はるところの弘安二年の大御本尊は、日目に之れを相伝す」（御書　一八八三頁）と仰せのように、この大御本尊は、日興上人、日目上人と唯授一人血脈付法の御歴代上人によって相伝されています。

　総本山第二十六世日寛上人は「就中(なかんずく)弘安二年の本門戒壇の御本尊は、究(く)竟(きょう)中の究竟、本懐の中の本懐なり。既に是れ三大秘法の随一なり」（観心本尊抄文段　一九七頁）と説かれ、弘安二年十月十二日に御図顕の本門戒壇の大御本尊は、宗(しゅう)旨(し)の根本となる本尊であると教示されています。

　代々の御法主上人は、その相伝の権(けん)能(のう)のうえに本門戒壇の大御本尊の御内(ない)証(しょう)を書写され、本宗僧俗に下付されるのです。

　

　解　説

　日蓮正宗の正しい御本尊とは、宗門の法規において正式に定められた本門戒壇の大御本尊であり、日蓮大聖人様はこの御本尊を顕されることを根本の目的として、末法の世に出現されたのです。故に総本山第二十六世日寛上人は、本門戒壇の大御本尊こそ「最も根本の御本尊である（趣意）」と仰せられています。

　この大御本尊を総本山御歴代の御法主上人が、唯授一人の血脈により、誤りなく相伝して書写され、本宗の僧侶・信徒に御下付くださるのです。したがって、これらの御本尊も、日蓮正宗の正しい御本尊です。

　この御本尊のもとに信心修行に精進できることは、まことに有り難いことであり、正しい御本尊の大功徳を世に弘めることこそ私たちの大切な使命です。

　そもそも、日蓮正宗の信仰を持たない人たちは、宗教に正邪があることを知らず、その無理解の上に、「神仏に守ってほしい」、「願いを叶えたい」、「先祖供養のため」等々、むやみに様々な神仏・宗教に望みを託しているのが現状です。

　たとえばキリスト教やイスラム教などは、三世の因果を無視した奇跡を説く宗教であり、仏教に限ってみても、釈尊・大日・阿弥陀・薬師等の仏像や、観音・弥勒・地蔵等の菩薩像を、自分勝手な解釈で本尊と定めたり、宗派によっては、畜生の稲荷を祀るなど、もはや仏教とは呼べない現状の寺院もあります。

　このようなまやかしの宗教に、安易に近づくことは非常に危険です。人間が信仰の対象＝本尊としたものは、その善悪・真偽・正邪によって、信仰者に大きな影響を与えることになるからです。

　釈尊は、

「唯(ただ)一(いち)乗(じょう)の法のみ有り　二無く亦(また)三無し」（法華経　一一〇㌻）

と説き、真実の教え、成仏の道は法華経以外にないことを示されています。

　大聖人様は、末法の御本仏の御立場から、

「小乗経・大乗経並びに法華経は、文字はありとも衆生の病の薬とはなるべからず。所(いわ)謂(ゆる)病は重し薬はあさし。其の時上行菩薩出現して妙法蓮華経の五字を一閻(えん)浮(ぶ)提(だい)の一切衆生にさづくべし」（御書　八八七㌻）

と仰せです。末法においては、真実を明かさない法華経以前の経々は無論のこと、法華経すらその効力を失っているのです。三毒強盛の末法の衆生には、寿量文底に秘沈された本因下種の妙法蓮華経の五字、即(すなわ)ち大聖人様が建立あそばされた真実の大法たる本門戒壇の大御本尊を受持せしめる以外に救済の道はないのです。

　現在、創価学会は、日蓮正宗のみに伝わる血脈相伝の正しい本尊義を曲げ、勝手に偽(ぎ)造(ぞう)頒(はん)布(ぷ)して巷(こう)間(かん)にばらまいています。創価学会が本尊と称して配布しているものは、この世の中で最も正しくない『ニセ本尊』なのです。

　世間法にあっても、ニセ札は本物に似ているほど罪が重くなる道理です。創価学会の『ニセ本尊』濫(らん)造(ぞう)の所業は、まさに仏法史上、最大最悪の罪を犯したものなのです。