大白法 平成23年3月1日刊(第808号より転載)

 
 育成(いくせい)についてD
 

謗法(ほうぼう)の害毒

 日蓮大聖人は、『()(しゃく)(ほう)(ぼう)(めつ)(ざい)(しょう)』に、
「謗法は(びゃく)(らい)(びょう)(ごと)し、始めは(ゆる)やかに後漸々(ぜんぜん)に大事なり」(御書 七一一n)
と示し、謗法が初めは(けい)()(しょう)(じょう)であるのが後に大事になると(おお)せられています。
 謗法とは正法を()(ぼう)することで、日蓮大聖人の仏法に背く一切の教えや行いをいいます。
 すなわち、日蓮正宗以外のあらゆる宗教における、(ほん)(ぞん)や宗教物および印刷物などの物品のほか、宗教()(れい)や宗教(こう)()などの言動が謗法に当たります。
 さらに、実際に誹謗する言動はしていないとしても、不信(信じないこと)そのものが謗法に当たるため、日蓮正宗の(しん)(こう)をしないことも謗法になるのです。
 大聖人は、この謗法に対し、
(ほう)(ぼう)を責めずして成仏を願はゞ、火の中に水を求め、水の中に火を(たず)ぬるが如くなるべし。はかなしはかなし。(いか)に法華経を信じ給ふとも、謗法あらば必ず()(ごく)()つべし」(同 一〇四〇n)
と仰せられています。
 たとえ日蓮正宗の信仰をしていても、
@他宗教に関わる物品を所持したり、宗教行為を行うこと。また、他宗教に心を寄せたりすること。
A日蓮正宗の信仰をしていない人々を(しゃく)(ぶく)しないで()(どう)すること。
などの謗法があれば、地獄に()ちると御教示されているのです。
 現実に、朝夕の勤行と唱題は欠かしていないけれども不幸ばかりが起きるという人が、家中を調べてみたら過去の謗法物が残っていたなどの体験談があるように、わずかな謗法であっても、その(あく)(えい)(きょう)が生活に現われるのです。
 
 (あっ)()()(じん)()む神社
 仏法では、正法を信仰する者を守護する(にっ)(てん)(がっ)(てん)(てん)(しょう)(だい)(じん)(はち)(まん)(だい)()(さつ)などの(しょ)(てん)(ぜん)(じん)が説かれています。
 しかし、『立正安国論』に、
「世(みな)正に(そむ)き人(ことごと)く悪に帰す。故に善神国を捨てゝ(あい)去り、聖人所を辞して還らず。(ここ)を以て魔来たり()来たり、(さい)起こり(なん)起こる」(同 二三四n)
と仰せられるように、世間の人々が日蓮正宗の信仰をせずに謗法行為を行っているために、これらの善神が天上に去ってしまい、()わりに(あっ)()()(じん)が神社等に入り()んでいるのです。
 つまり、たとえ(さい)(じん)を天照大神や八幡大菩薩と(うた)っていたとしても、実際には悪鬼の住処(すみか)となっているのです。
 ですから、参詣(さんけい)によってこれらの本尊を(おが)んだり、祭への参加や寄付(きふ)を行うことは、この魔の力を増長させることになるのですから、(げん)(つつし)まなくてはなりません。
 
 実生活における謗法(げん)(かい)
 私たちは、どんなに謗法に近づかないように心がけても、生活(かん)(きょう)や現実の社会には謗法が(じゅう)(まん)しているため、謗法に()(えん)である生活をすることはできません。
 たとえば、人付き合いの中で、地域の祭、他宗による(そう)(しき)(けっ)(こん)式の参列、団体旅行での他宗寺院への参詣など、謗法に接することは(だれ)にでもあることです。
 しかし、このような場合でも、日蓮正宗の信仰者として(ほう)(ぼう)(げん)(かい)を基本に(たい)(しょ)していくことが大切です。
 
 (ほう)(ぼう)(ばら)いについて
 謗法への対処は、まず家中から謗法物を取り除くことが(かん)(よう)です。これを「(ほう)(ぼう)(ばら)い」といいます。
 謗法物は、たとえ美術品としての価値を有しているものでも、大切な形見の品であっても、その本質は謗法ですから、きちんと取り除くことが大切です。
 この謗法払いは、所有者が自らの意思によって処分することが原則であり、謗法と決別する強い気持ちで行うことが大切です。
 また、謗法払いを代行するときは、世法上の問題からトラブルに発展する場合もあるので、()(じゅう)(しょく)()(しゅ)(かん)の指導を受けて充分に注意して当たる必要があります。
 
 他宗の()(れい)への列席について
 総本山第九世(にち)()上人は他宗の葬儀への列席について、
「他宗他門の人死去せば知人ならば訪ろうべし、但し他宗他門の本尊・神座(いはい)に向かって題目を唱え経を読まず、死去の亡者に向かって之れを読むべし」(日蓮正宗聖典 九八九n)
と仰せられています。
 この御指南のように、他宗で行われる葬儀に出席する場合は、他宗の本尊や位牌に向かって御題目を唱えるのではなく、故人に向かい御本尊を念じて御題目を唱え、(めい)(ふく)(いの)ることが大切です。
 また結婚式や法要などに列席しなければならないときにも、あくまでも儀礼上の参列と心がけ、御本尊を念じて御題目を唱えるべきでしょう。
 
 団体旅行などによる見学
 学校の団体旅行などにより、神社・(ぶっ)(かく)に行かなければならない場合があります。
 こうした場合について、日有上人は、
「他宗の神社に参詣し一礼をもなし(さん)()をも(まい)らする時は、謗法の人の(かん)(しょう)に同ずるが故に謗法の人なり(中略)(ただ)(もの)()()(さん)なんどには神社へ参らせん事禁ずべからず、誠に信を取らば謗法の人に与同する失あり云云」(同 九八七n)
と御指南されているように、単なる見学は一応(ゆる)されていますが、手を合わせて一礼するなどの行為は信仰心を表わすことになるため、厳に(いまし)めるべきです。同様に、守り(ふだ)(こう)(にゅう)(さい)(せん)(がん)()けなどの行為も信仰に(つな)がるので注意しましょう。
 いついかなる場にあっても、御本尊を深く信じて謗法を()(しゃく)する精神と、妙法()(づう)の一念を持つことが、謗法厳誡の教えを守ることになるのです。
 さて、()(ほっ)()(にち)(にょ)(しょう)(にん)(げい)()は、
「謗法を破折していくという強い信心が大切なのです。その最たるものが折伏であると、こういうことになるわけです」(折伏要文 一七二n)
と、謗法を破折していく折伏行が大切であると仰せられています。
 私たちは、大聖人の御金言や御法主上人猊下の御指南のように、謗法を戒め、折伏行に(まい)(しん)していくことが大切です。
 
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