誰(だれ)もが最初に御(ご)授(じゅ)戒(かい)を受け、日蓮正宗の信(しん)仰(こう)に入ります。

　新たに日蓮正宗の信仰の道を歩み始めた方に対しては、御住職の指導を中心に、紹(しょう)介(かい)者(しゃ)が同じ法華講の同志と協力し合って、育成することが大切です。

　その際は、生活の在(あ)り方や、様々な生活上の対処法など、自分がかつて受けた御住職の指導や、疑問に思ったことなどの経験を活(い)かしていくことが効果的です。

　また同時に、新たに入信される方の純(じゅん)粋(すい)な信心を見て、私たちが学ぶことも多くあります。入信者にとって、先導者となるだけでなく、友であり、同志であり、共に成長していける信頼関係を築くことが大切です。

　

　御本尊様を御(ご)安(あん)置(ち)

　現在、内(ない)得(とく)信(しん)仰(こう)として励(はげ)んでおられる方や、御授戒のみを受けられて、まだ御本尊様を御安置してない方には、御本尊様をご自宅にお迎(むか)えすることが大切であると教えていきましょう。

　第二十六世日寛上人が、

「本尊等、願の事。之(こ)れ有るにおいては、遠(えん)慮(りょ)なく申し遣(つか)うべし（中略）たとへ授戒候(そうろう)とも、本尊なくば別して力も有るまじく候」（妙光寺蔵・蓮華昭和四九年六月号七三�n）

と仰せのように、御本尊様を御安置し、生活の中心とすることによって、様々な功(く)徳(どく)があるばかりか、困難な壁(かべ)にぶつかっても、くじけることのない強い信心を育(はぐく)むことができるのです。

　もし自分には御本尊様をお守りできないのではとの不安や。ちょっとした自身の不(ぶ)作(さ)法(ほう)が御(ご)不(ふ)敬(けい)になるのではと心配して、御本尊様の御安置を不安に思う方には、きちんと御題目を唱えるならば心配することはないとの確信を持たせましょう。

　その際、たとえいかなる罪(ざい)障(しょう)も、御本尊様への勤行と唱題によって、必ず消(しょう)滅(めつ)していくと伝えることはとても大切です。

　このように、自宅に御本尊様、つまり仏様をお迎えすることほど有り難く、心強いことはありません。一日でも早く御本尊様を自宅にお迎えできるよう努力しましょう。

　しかし、家庭の事情など、どうしても御安置できないという場合もあるでしょう。その場合は、努(つと)めて寺院に参(さん)詣(けい)し、御本尊様に御題目を唱えるように導くことが大切です。

　

　勤行と唱題が修行の根本

　私たちの仏道修行のうち、自行の中心は勤行と唱題です。

　言わば、自らが宿(しゅく)業(ごう)を転(てん)換(かん)し、困難を克(こく)服(ふく)し、新たな人生の道を開いていく。その源となるのは、まさしく日々の勤行と唱題なのです。

　しかし、一人ではなかなか勤行を修得することはたいへんです。そういうときは、ぜひ、共に寺院の勤行に参加することが大切です。

　勤行の正しい仕方が身につくだけでなく、御本尊様へのお給(きゅう)仕(じ)の姿勢を拝(はい)見(けん)したり、御住職に接することができ、有り難い功徳を実感することができるでしょう。

　御(ご)法(ほっ)主(す)日如上人猊(げい)下(か)は、

「そもそも、仏法におきましては信は仏道修行の根本であり、信なくして成仏することはできないのであります（中略）仏法は海の如(ごと)く広くて大きい。したがって、一見、その仏法の海にはどこからでも入れるように思われますが、実際には信心という入り口しかないのであります」（大白法　七四一号）

と御指南されているように、日々の勤行と唱題により、強い信心を育てることが大切です。

　また、私たちの信仰する日蓮正宗は、正(まさ)しく末法(まっぽう)の時に適(かな)った正しい仏法です。そのため、すばらしい功徳がはっきりと表われるときもあれば、様々な難が起こるときもあります。

　もし、困難に直面したとき、その時こそ、過去の業を転換するために、唱題の功徳によって乗り越えるべき大切な時が訪れたのであるということを伝え、共に指導を受け、共に祈(いの)り、その困難を解決していくよう励ますことが大切です。

　宗祖日蓮大聖人様は、

「苦をば苦とさとり、楽をば楽とひらき、苦楽ともに思ひ合はせて、南無妙法蓮華経とうちとな(唱)へゐ(居)させ給へ」（御書　九九一�n）

と仰せられています。

　苦難も喜びも常に御本尊様を信じ、生活の中心を信仰に合わせるならば、尊(とおと)い功徳を積むことができ、たとえ第(だい)六(ろく)天(てん)の魔(ま)王(おう)による大難が起こったとしても、必ず打ち破ることができるでしょう。

　このように勤行と唱題によって、人生の様々な局(きょく)面(めん)を御本尊様と共に乗り越え、新たな人生を切り開き、また日々の生活を大切に過ごしていけることを、確信をもって伝えていくことが大切です。

　

　折(しゃく)伏(ぶく)のできる人材に育てよう

　御本尊様が本当に有り難いと確信するならば、自(おの)ずから慈悲(じひ)の心が現われてきます。

　御法主日如上人猊下は、

「その広大無辺なる功徳を自分一人が独占するのではなく、謗法の害毒によって不幸にあえぐ人達にこの大御本尊の偉(い)大(だい)なる功徳を伝え、共に信心に励み、幸せを築いていくことが大事なのであります」（大白法　七五一号）

と御指南されているように、その慈悲の心を折伏の実(じっ)践(せん)に繋(つな)げていくよう道筋をつけていくことが大切です。

　『法華玄義』には、

「智(ち)目(もく)・行足、もって清(しょう)涼(りょう)池(ち)に到る」

と示されています。末法の私たちにとっては、信心を目にたとえ、修行を足にたとえて、成仏を清涼の池にたとえているのです。

　この修行とは自行と化他であり、勤行・唱題と折伏です。つまり、信心を目とし、勤行・唱題と折伏の二本の足を運んで、成仏に至るのです。

　平成二十七年の御命題成就に向けて、御住職様を中心に支部が一丸となって折伏に大前進しています。同時に、新たに入信した人が確固たる信心を築き、功徳の実証を体験し、さらに折伏の陣(じん)列(れつ)に連(つら)なっていくのです。