全国各地から折(しゃく)伏(ぶく)誓(せい)願(がん)目(もく)標(ひょう)完(かん)遂(すい)を報告する声が次々と上がっていることからも、平成二十七年・三十三年の御命題に向けて、各支部が「広(こう)布(ふ)前(ぜん)進(しん)の年」の年間方針のままに折伏弘(ぐ)通(づう)に励(はげ)んでいることが伝わってきます。

　御(ご)授(じゅ)戒(かい)・勧(かん)誡(かい)を受けた入信者数の人数を折伏成果とすることになったことから、当コーナーでは前回まで四回に分けて御授戒の意義を拝(はい)しましたが、法華講員八十万人体勢を築くためには新入信者育成にも目を向けなければなりません。

　御(ご)法(ほっ)主(す)日(にち)如(にょ)上(しょう)人(にん)猊(げい)下(か)は育成に関して、

「色々な育成の方(ほう)途(と)は考えられるのですけれども、最も基本的なところからいって、折伏した人をできるだけ早く総本山に登山せしめるということが大事ではないかと思うのです。

　これは、初登山した方々がお山の佇(たたず)まいを見て、そして戒(かい)壇(だん)の大(だい)御(ご)本(ほん)尊(ぞん)様(さま)にお目通りして、本当に命を震(ふる)わして、感動して帰っていくわけです。その感動を、体験を、できるだけ早く積ませるということが非常に大事だと思うのです」（大日蓮　七六八号）

と、勤行・唱題という日々の修行はもちろんのこと、総本山への早期登山、本門戒壇の大御本尊様にお目通りすることの重要性を御指南くださっています。

　そこで今回は、登山について考えていきたいと思います。

　

　種々の登山方式を活用しよう

　平成四年に始まった支部総登山について、御法主上人猊下は昨年一月に総本山客(きゃく)殿(でん)において行われた出(しゅつ)陣(じん)式(しき)の砌(みぎり)に、

「支部総登山を推(すい)進(しん)していくなかで獲(かく)得(とく)するものは、実に計り知れない大なるものがあります。（中略）そこで培(つちか)われたものが、今後の広布への戦いの大きな原動力となって、折伏逆(ぎゃっ)化(け)の場に発(はっ)揮(き)されることになるのであります」（大白法　七五七号）

と仰(おお)せであり、「全講員で支部総登山」と本年の年間実(じっ)践(せん)テーマの一つにも掲(かか)げられ、支部の足(あし)腰(こし)を鍛(きた)える重要な行事として実(じっ)施(し)されています。

　日蓮大聖人が『四条金(きん)吾(ご)殿(どの)御返事』に、

「毎年度(たび)々(たび)の御(ご)参(さん)詣(けい)には、無始の罪(ざい)障(しょう)も定めて今生一世に消(しょう)滅(めつ)すべきか。弥(いよいよ)はげむべし、はげむべし」（御書　一五〇二�n）

と御示しの登山の精神に立ち、共に信心に励む同志と御(ご)開(かい)扉(ひ)を受け、信行を奮(ふる)い起こす布教講演を聴(ちょう)聞(もん)し、総本山の聖域を見学して清(しょう)浄(じょう)な空気に触(ふ)れる。一度の登山が志(こころざし)も新たに支部の活動に取り組む大きな活力をも生むのです。

　また、登山推進がもたらす組織の活性化と人材の育成については、御法主上人猊下が種々御指南あそばされており、『大白法』紙上においても全国の法(ほっ)華(け)講(こう)支部の体験として多くか紹(しょう)介(かい)されています。

　しかし、様々な理由により、団体での登山が困(こん)難(なん)な状(じょう)況(きょう)も考えられます。

　現在、総本山への登山方式には支部総登山の他にも、添(てん)書(しょ)登山・団体登山・代表登山・法華講連合会の登山会等いくつかの種類があり、特に御法主上人猊下の御指南に随(したが)い一日も早い登山を実践するためにも、添書登山の活用は大きな意味があります。

　「百聞は一見に如(し)かず」とは中国漢王朝時代から使用される世間の諺(ことわざ)ですが、やはり新入信者が一日も早く自らの足で登山することが肝要(かんよう)です。総本山の佇まいを見、布教講演を拝聴し、歴史と伝統を肌(はだ)で感じる。そして何より本門戒壇の大御本尊様にお目通りすることによって。

「須(しゅ)弥(み)山(せん)に近づく鳥は金色となるなり」（同　一〇五四�n）

との御金言のごとく、功(く)徳(どく)と感動が法華講員としての大きな変化と成長をもたらすことでしょう。

　大御本尊様への御報恩謝徳と渇(かつ)仰(ごう)恋(れん)慕(ぼ)の心をもって、一日も早く新入信・再入信の方を総本山にお連れしようではありませんか。

　

　所属寺院への参詣が大切

　日蓮大聖人は、外(げ)用(ゆう)は地(じ)涌(ゆ)上(じょう)行(ぎょう)菩(ぼ)薩(さつ)の再(さい)誕(たん)、内(ない)証(しょう)は久(く)遠(おん)元(がん)初(じょ)の御(ご)本(ほん)仏(ぶつ)として本(ほん)因(にん)下(げ)種(しゅ)の妙法御本尊を建立されました。『四条金吾殿御返事』に。

「されば末(まっ)法(ぽう)に此(こ)の経(きょう)をひらめん人々、舎(しゃ)利(り)弗(ほつ)と迦(か)葉(しょう)と観音と妙音と文(もん)殊(じゅ)と薬王と、此等程の人々は候(そうろう)べき。（中略）然(しか)れども此等の人々にはゆづり給(たま)はずして地涌の菩薩に譲(ゆず)り給へり。されば能(よ)く能く心をきた(鍛)はせ給ふにや」（同　一二九二�n）

と仰せられるように、日蓮大聖人の眷属(けんぞく)たる私たち法華講員は、日々の信心修行により妙法の一念を鍛えることが大切です。

　総本山に登山して功徳を積み歓(かん)喜(き)を得たならば、時の経過と共に行体が疎(おろそ)かになることのなきよう、日々の勤行・唱題を基本として、水の流れるがごとき弛(たゆ)まぬ信心姿勢で自らを錬(れん)磨(ま)していかねば意味がありません。

　第二十六世日寛上人は『寿(じゅ)量(りょう)演(えん)説(ぜつ)抄(しょう)』において、

「どんなことがあったとしても全てのことを拠(なげう)ってお寺に参詣し、御説法を聴聞し、南無妙法蓮華経とお題目を唱えて報恩謝徳することこそ大事である（趣意）」

と、登山はもとより、所属寺院への参詣・説法聴聞による功徳と精進の大切さを顕わされています。

　御法主上人猊下の、

「講中全体が一(いっ)致(ち)団結・異体同心して妙法広布に向かって前進していくところに、個から全体にわたって妙法蓮華経の功徳が国土全体に及(およ)び、国土が浄化され、やがて仏国土を築いていくことができるのであります］（大白法　七一八号）

との御指南をよくよく拝し、弘通の法城である所属寺院への参詣、寺院を中心とした講中組繊・異体同心の活動を礎(いしずえ)として、平成二十七年・三十三年の御命題に向けて前進してまいりましょう。