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大白法・平成１６年１１月１６日刊 （第６５７号より転載） 信行を磨く （93）
日目上人会と死身弘法
高野日海御尊能化
記録破りの酷暑と、大災害をもたらした台風禍の夏が過ぎて、冷気深まる霜月を迎えました。
このところの天変地夭をもって、冬の異常さが思いやられます。
十一月十五日は日目上人御遷化の御正当、正慶二（一三三三）年の猛吹雪は、どれほど御老体の身に応えたことでしょう。
御本仏日蓮大聖人の忍難弘教の御化導、御開山日興上人の師弟相対の御帰依、第三祖日目上人は、天奏の途路の垂井にその身を埋められて、広布への赤誠不自惜身命の行儀をもって、日蓮正宗のゆるぎない信行の礎を築かれ、今に御当代日顕上人の代に至るまで、この正信は血脈相承されて少しも変わりません。
一心欲見仏 不自惜身命
日蓮大聖人が「一心欲見仏 不自惜身命」の御経文を通して、国中の者からの悪口罵詈をものともせず、道門衆よりの顰蹙蔑如を歯牙にもかけず、国家権力による数数見擯出の難、伊豆・佐渡の御配流を悠々と乗り越えられて、ここに『勧持品』二十行の偈の一切を、忍びに忍んで我と我が身の上に読み切られ、
と、天下にその大境界を、高らかに御宣言あそばされました。
末法の法華経の行者は、釈尊の弟子として法華経を弘める、遣使還告の上行菩薩ではありません。
一切衆生を救われる、久遠下種の御本仏の異名別号と拝するのが、日蓮正宗の法義であります。
ここに自解仏乗の日蓮大聖人は、一閻浮提の本門戒壇の大御本尊を御図顕あそばされ、皆成仏道の三大秘法として私たちを導かれます。この独一の大秘法の住処こそ、日蓮正宗総本山、富士大石寺であります。
私たちこそ力ある菩薩
法華経は、ああしろこうしろという善巧方便を多くは説きません。十喩等をもって教行人理の一切を第一と讃え、
と、法華経は、我ら凡夫は煩悩多き駄目人間、力量・才能・福運にも恵まれない貧窮下賤の者、だって、でもと哀音溜め息を漏らして自信喪失する劣等感の塊の心に、本然本理、各人平等に仏性を具えて、凡夫の一人ひとりは、濁乱の世に精気清風を送り、仏国土建設に尽力する仏子その人であると、勇気づけられる秘法、蘇生の妙薬であります。
此経難持
末法に南無妙法蓮華経と唱える人は、そのまま持戒精進の尊い菩薩であると讃め称えられ、自信と誇りをもって強く生きよと、励まされます。
それに対して創価学会は今、小乗外道の偏見、付仏法学仏法の邪観に堕して、宗門を弱小貧乏教団と蔑み、やれ破戒の、老いぼれの、病人などと、相対下劣な悪口に終始しますが、絶待妙の信地は、
として、大心の衆生はいささかも自己中心の心を起こさず、戒緩乗急、自行化他の宗是をもって、精進行に徹する妙教であります。
大友旅人は酒を讃むるの歌十三首に、
と歌い、これを中西進氏は、
と釈します。まさに小乗持戒の欠陥後進性を揶揄するところです。
『上野殿母尼御前御返事』等には、「聖人」と書いて「すみざけ」と読ませる件がありますが、これを『万葉集』に、
として、魏の徐邈が禁酒令を犯して酒を飲んだ破戒の勇気を、聖人に中ると称え、以後世間では洒の名をはばかって清酒を聖人、濁酒を賢人と呼んだとあります。どんな戒も破るよりは持つほうがよいと考えるのが相対の小乗教、伝教大師はこの小乗戒を、麁戒として、
と固く禁ぜられ、日興上人は、
と所開の小乗瓦器戒を制止して、能開の法華金剛宝器戒の受持一行を教えられます。
大多・健強・壮盛・金満を善とし、小寡・病弱・老衰・貧乏を悪とする相対の我執のところを、当宗では破戒と断ずるのであります。
と、絶待妙の極地は、難来るをもって安楽とし、病ある人仏に成るべしの、善悪不二の妙法、種が家の深義、かかる超八独一の日蓮正宗に籍を置くだけでも、最高の福徳大果報の身の上であります。
御法主日顕上人猊下は、異体同心して広布への大前進が宗内の隅々にまで行き渡って、その如是相が現実に顕れることを庶幾れ、日蓮大聖人御在世当時の不惜身命の信行に帰れと、祖道の恢復を御訓諭あそばされました。
本門戒壇の大御本尊を離れての成仏もなければ広布もありません。現在の一凶たる創価学会をはじめとして、一切の邪法邪義を破折し、もってこの冥加に尽きる大恩に対して、いよいよの御報恩を尽くしてまいりましょう。
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