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大白法・平成１５年１１月１６日刊 （第６３３号より転載） 信行を磨く （８２）
恐るべきは「置」の一字なり
土居崎慈成御尊師
「広布大願の年」との御命題を賜った本年も、あと一カ月半をもって終了しようとしております。第四期の期間テーマの中にも、「年間活動の総仕上げ」とありますように、一人ひとりが各自の信心を見直し、明年の信行へとつなげ、さらなる信行の飛躍を誓わなくてはならないと思います。
第一年目の意義
昨年、平成十四年は、宗旨に燦然とその歴史を刻む「宗旨建立七百五十年」の年でありました。そして御法主日顕上人猊下は、平成二十一年の「『立正安国論』正義顕揚七百五十年」へ向けて「地涌の友の倍増乃至、それ以上の輩出と大結集」との御命題を下賜されて本年が第一年度であり、すなわち新たな御命題に向けて出発する年であったと思うものであります。
全国の支部においては、平成二十一年に向けて第一年の目標を掲げ、支部倍増を見据えた活動が、真剣な唱題の音声も高らかに開始いたされたことと思います。
と仰せにありますように、地涌の菩薩・眷属たる者故に、題目を唱え、弘める使命があるのであります。
折伏の使命
折伏とは、正法に教導すること、すなわち日蓮大聖人の仏法に誘引せしめるための行いであります。自行化他の信心と申しますように、三世に亘る福徳は、自行と化他の信行が両立してこそ成せるものであります。
と仰せでありますように、化他なくしての成仏はあり得ないことを御金言いたされております。日蓮大聖人の教えに導き入れるとは、何も教学によって導き入れるだけとは限りません。自身が折伏され、入信いたされた動機が、大聖人の教えをすべて理解して入信されたのではないことと同様に、折伏された方の体験や実証、さらには命がけの言葉に感銘し、入信を決意されたことと思うのであります。
すなわち「幸せになってほしい」「この信心のすばらしさを理解してもらいたい」「この仏法で救われるんですよ」なる思いが、言葉を通じて相手の命に伝わり、入信へと実を結ぶのであります。
人間は常に今に妥協せず、向上することを望み、現状打開や、さらなる幸せを願う生き物でもあります。なかには向上することを望まず、今をよしとする人がいるかもしれませんが、それは実際には向上する術を知らないが故に、現状に甘んじているのであります。
折伏は自分の言葉で
最初から、現在の職業や家庭、人生や宗教、立場を望んだ人がいないように、様々な経験や知識の上から誰しも今があります。
そして、現在の状況に誰しも満足はしていないのであります。「何事もあきらめたときにすべては終わる」との言葉がありますが、常に向上を望む人の心には、必ず正しい仏法を受け入れる心の場所もあるのです。
その心に対応し、命に訴え、幸福に導き入れる言葉こそ、自らの体験や実証、さらには大聖人の御金言や御法主上人猊下の御指南なのであります。特に、自ら得た信仰のすばらしい体験とは、相手の心を揺り動かし、今の現状を打開するための行動へと駆り立てるということであります。
折伏とは、難しく考えて行えるものでもありません。要するに、自分の知っている、あるいは体験した日蓮大聖人の仏法のすばらしさを一つでも伝えようとする気持ちから涌き起こる行動であります。「救いたい」と願う気持ち、言葉は相手の心に訴えかけ、命を揺さぶる言葉へと変わります。
自分の言葉で結構です。どんな難しい言葉よりも、あるいは美しい言葉よりも、「救いたい」と願う心から出る言葉に勝るものはありません。
自分らしい折伏を、自分の言葉で行いましょう。何か一つでも相手の心に伝わったならば、それはもう立派な折伏です。
折伏は、その人の人生を救うのみならず、自分をも幸福へと誘う最良の方策です。現世のみならず来世までも救うことができる、この世に二つとない善行であり、日蓮大聖人の正しき法灯を受け継ぐ弟子・檀那の特権であります。
しかしながら、正しき仏法、幸せになる道を知る者が、その法を弘めない場合には、大きな罪障を積むことになるとも誡められております。『御講聞書』に、
と仰せのごとく、涅槃経に説かれる「置」の一字こそ、最も恐れる文字であるとの仰せであり、正法を知る人が謗法の者を見ながら置いて折伏をしない場合、必ず無間地獄へと導かれると厳しく御金言あそばされております。
平成二十一年への道程は、さらに本年より来年、来年より再来年と魔の出来も手伝い、正法広布の信行は厳しくなっていくと思います。故に本年の残された一カ月半、わずかな時間も無駄にすることなく、御命題に向けての磐石なる基盤が本年にあるとの強い意識の上から、信行に励まれますことを念願いたします。
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