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大白法・平成２１年１１月１６日刊 （第７７７号より転載） 信行を磨く （１３９）
新たな希望の第一歩
高野法雄御尊師
七万八千四百二十三名、総本山を埋め尽くす嬉々とした姿を見て、七万五千名の達成を確信してはおりましたが、この数はまさに不可能を可能にする信心の結晶と言えます。
ただし、御法主日如上人猊下の御指南に、
とありますように、私たちは総会の成功をもって安堵するのではなく、奮い立って広布への闘いの先陣を切る一人ひとりであることを忘れてはなりません。
「成功という結果よりも、成功のために努力してきたプロセスが大事」と言われます。
しかし、このことは「努力したのだから、できなくても仕方がない」ということでは決してありません。「できるまで努力した」ということであり、成し遂げるまで努力しなければならないことを教えています。
私たちは時の御法主上人猊下より時に適った目標を戴いてまいりました。当初は無理ではと思うことがあっても、御指南のもと信心を奮い起こして精進を重ねた結果、その目標を達成することができました。気がつくと一人ひとりに大きな力が備わり、成長していたのです。
御法主上人猊下が目標を示してくださるのは、大きな慈悲であると拝するものです。
解決するまでやり通す
「信心していてもなかなか問題が解決しない」と歎く方を見かけることがあります。
一つには、解決できるだけの信心をしていないということであります。この信心はあらゆる問題、あらゆる困難を解決する唯一最善の方途です。
ほかに解決する方策はなく、歎いても解決はしません。解決するまで信心を増進させる、やり通すしかないのです。
『日厳尼御前御返事』に、
と御教示のように、仏様の功力は絶大でありますが、私たちの信心が弱かったり、濁っていたならばその功力を十分に戴くことはできません。
御法主上人猊下は『功徳要文』の御講義で「御信心によるべし」について、
と御指南されました。
これまでに広布推進会や当紙などで数多くの体験談を見聞きしてまいりました。
これらの体験談に共通していることは、御本尊様への絶対の信であり、すべてを御本尊様にお任せするという潔い信心であります。
「信心をしているのになぜ？」「なかなか解決しないのはどうして？」などと考えることは、信が弱く濁っている姿であります。
生きている限り悩み苦しみがあるのは当然、悩み苦しみがあるのはまだまだ成長できるということと捉える姿勢こそ潔い信心姿勢と言えます。
先日、台湾の住職から台湾のあるご婦人の話を聞くことがありました。このご婦人は五年前に御授戒を受けたのですが、このとき既に体はガンに蝕まれておりました。少しでもよくなることを願って信心されたと思うのですが、過去からの因縁か病はどんどん進行していきました。
今年、住職が家庭訪問に訪れたときには体も痩せ細り、座ることも辛そうで、話す声は絞り出すようにしていました。住職も内心では一瞬「どのように激励できるだろうか」と思ったそうです。しかし、そのご婦人から出た言葉に逆に感銘を受けたとのことです。
「私はガンで、いつ死んでもおかしくない状態です。でも、いつも御本尊様絶対と信じて御報恩の御題目を唱えられます。だから覚悟はできているし、安心していられます」
痛みもあるかも知れません、死に対する恐怖もあるかも知れません、にもかかわらず、信心に対する疑いなど微塵もなく心の底から確信し切った表情で一言一言を語られていたそうです。
このご婦人には二人の息子さんがいますが、末入信のため御本尊様を御安置できず内得信仰の状態でした。それでいてこれだけの覚悟を持って御本尊様に絶対の信を持っていられることに感服します。
そして、息子さんが御授戒を受けた日に住職は再度訪問し、「念願の法統相続ができましたね。今度は息子さんと一緒にお詣りできますよ。本当によかったですね」と声をかけると、満面に笑みを浮かべ、それから三日ほどして安らかに息を引き取ったそうですが、最後まで折伏に生きた人生は何よりもすばらしいことです。何年生きたかより、どう生きたかが人生です。
不安や恐怖、迷いや挫折など、そういった今世のあらゆる執着から解き放され報恩、感謝、満足の境地で霊山への旅立ちができたということです。
『持妙法華問答抄』の、
また、『生死一大事血脈抄』の、
と、これらの御教示を頭では理解していても、自分自身の身において実践できているでしょうか。
「あなたの寿命はあと一年」と言われたときにこの覚悟ができるでしょうか。ここに信心の真価が現れると思います。
新たな希望へ
今、御法主上人猊下より賜った新たなる御命題、この御命題を一人ひとりがどれだけ真剣に拝することができるか、覚悟を持って臨むかによって結果が決定してしまうと言えます。
との御指南を七万八千余名を中核とし、全法華講衆が折伏に打って出ることが本当の信心です。
そのためにも本年の残り一カ月半、全支部が折伏誓願目標の完遂と五十万総登山の完遂のため、指導教師、講頭を先頭に一致協力し、見事な成果で有終の美を飾りましょう。
新たなる御命題は新たなる希望です。
晴れ晴れと広布に向けて前進いたしましょう。
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