第８歩　～総　　門～

　

　総門(そうもん)は、大(たい)石(せき)寺(じ)境(けい)内(だい)の最(さい)南(なん)端(たん)に位(い)置(ち)する表(おもて)玄(げん)関(かん)です。

　この門は、大(だい)永(えい)2（1522）年、総(そう)本(ほん)山(ざん)第(だい)12世(せ)日鎮(にっちん)上(しょう)人(にん)によって建(こん)立(りゅう)され、その後(ご)、第17世日(にっ)精(せい)上人の代(だい)である寛(かん)永(えい)15（1638）年、第40世日(にち)任(にん)上人の代である寛(かん)政(せい)5（1793）年、第55世日布(にっぷ)上人の代である明(めい)治(じ)13（1880）年、第64世日昇(にっしょう)上人の代である昭(しょう)和(わ)29（1954）年に、それぞれ再(さい)建(けん)修(しゅう)築(ちく)がなされました。そして、平成(へいせい)10（1998）年、第67世日顕(にっけん)上人によって現(げん)在(ざい)の地に移されています。

　門の大(おお)きさは、創(そう)建(けん)当(とう)時(じ)、間(ま)口(ぐち)一(いっ)間(けん)半(はん)（約2.7メートル）、奥(おく)行(ゆき)三間(けん)（約5.5メートル）でしたが、その後の改(かい)築(ちく)によって、今日の間口三間二尺(しゃく)（約6メートル）、奥行二間四尺（約4.8メートル）の姿(すがた)となりました。

　また、総門は古(こ)来(らい)、黒(くろ)塗(ぬ)りであることから「黒(くろ)門(もん)」とも称(しょう)されてきました。それは中(ちゅう)国(ごく)の天(てん)台(だい)大(だい)師(し)が『摩(ま)訶(か)止(し)観(かん)』に、

と説(と)かれ、大(だい)聖(しょう)人(にん)様(さま)が『妙(みょう)法(ほう)尼(あま)御(ご)前(ぜん)御(ご)返(へん)事(じ)』に、

と説かれるように、黒色は謗(ほう)法(ぼう)濁(じょく)悪(あく)の姿を表(あらわ)しており、この門をくぐることによって、世(せ)間(けん)の邪(じゃ)法(ほう)に染(そ)まった謗法の害(がい)毒(どく)を洗(あら)い流(なが)すとの意(い)義(ぎ)が具(そな)わるからです。そして、私(わたし)たち日(にち)蓮(れん)正(しょう)宗(しゅう)の僧(そう)俗(ぞく)は、清(せい)浄(じょう)無(む)垢(く)な命(いのち)で寂(じゃっ)光(こう)の霊(れい)地(ち)である本(ほん)門(もん)戒(かい)壇(だん)の大(だい)御(ご)本(ほん)尊(ぞん)様(さま)のもとへ参(さん)詣(けい)させていただくのです。

　また、門とは大聖人様が『御(おん)義(ぎ)口(く)伝(でん)』に、

と説かれるように、道(どう)心(しん)を発(おこ)して信(しん)行(ぎょう)に励(はげ)む尊(とうと)い信心を表しています。

　私たちは法華経の『従(じゅう)地(ち)涌(ゆ)出(じゅっ)品(ぽん)第十五』に、

と説かれるように、謗法の充(じゅう)満(まん)した世(よ)の中(なか)で常(つね)に純(じゅん)真(しん)な信心を貫(つらぬ)き、成(じょ)仏(うぶつ)という真(しん)の幸(しあわ)せと世(せ)界(かい)の平(へい)和(わ)実(じつ)現(げん)を願(ねが)って、謗法に染まった人たちを一人でも多(おお)く救(すく)っていけるように、日(ひ)頃(ごろ)の勤(ごん)行(ぎょう)・唱(しょう)題(だい)、そして折(しゃく)伏(ぶく)・育(いく)成(せい)に励(はげ)み、種(しゅ)々(じゅ)の登(と)山(ざん)にも積(せっ)極(きょく)的(てき)に参(さん)加(か)していきましょう。