第２６歩
　～浄蓮坊～

　

　総(そう)本(ほん)山(ざん)の三(さん)門(もん)をくぐり参(さん)道(どう)の歩(あゆ)みを進(すす)めると東(ひがし)側(がわ)の奥(おく)に浄(じょう)蓮(れん)坊(ぼう)があります。

　浄蓮坊は、元(げん)弘(こう)元(がん)（1331）年(ねん)、第(だい)三祖(そ)日(にち)目(もく)上(しょう)人(にん)の弟(で)子(し)であった総本山第４世(せ)日(にち)道(どう)上人が創(そう)建(けん)されました。その後(ご)は、再(さい)建(けん)・改(かい)築(ちく)等(とう)を繰(く)り返(かえ)され、現(げん)在(ざい)の建(たて)物(もの)は、平(へい)成(せい)１９（2007）年、立(りっ)正(しょう)安(あん)国(こく)論(ろん)正(しょう)義(ぎ)顕(けん)揚(よう)750年記(き)念(ねん)事(じ)業(ぎょう)である総本山総(そう)合(ごう)整(せい)備(び)事業により、再建新(しん)築(ちく)されたものです。

　歴(れき)代(だい)の御(ご)住(じゅう)職(しょく)には、第５９世日(にち)亨(こう)上人や第６０世日(にち)開(かい)上人がいらっしゃいます。

　本(ほん)堂(どう)の御(ご)宝(ほう)前(ぜん)には、御(ご)当(とう)代(だい)日(にち)如(にょ)上人猊(げい)下(か)が認(したた)められた常(じょう)住(じゅう)御(ご)本(ほん)尊(ぞん)様(さま)が御(ご)安(あん)置(ち)されています。

　浄蓮坊を創建された日道上人は、１６歳(さい)で日目上人を師(し)として出(しゅっ)家(け)されました。

　日道上人は、師の日目上人と同(どう)様(よう)に南(なん)条(じょう)家(け)の縁(えん)戚(せき)にあり、弘(ぐ)通(づう)のために奥(おう)州(しゅう)（東(とう)北(ほく)地(ち)方(ほう)）へ足(あし)を運(はこ)ばれ、浄蓮坊創建の翌(よく)年(ねん)には、宮(みや)城(ぎ)・妙(みょう)圓(えん)寺(じ)を創(そう)設(せつ)され、同年１０月(がつ)には、日目上人より、血(けち)脈(みゃく)相(そう)承(じょう)を受(う)けられて、大(たい)石(せき)寺(じ)第４世として大(だい)坊(ぼう)に入(はい)られています。

　この年(とし)には、大(だい)聖(しょう)人(にん)・日(にっ)興(こう)上人・日目上人の史(し)伝(でん)書(しょ)の草(そう)案(あん)である『御(ご)伝(でん)土(ど)代(だい)』を著(あらわ)されています。

　また、浄蓮坊の境(けい)内(だい)には、「京(きょう)都(と)講(こう)中(ちゅう)宿(しゅく)院(いん)」と書(か)かれた石(せき)標(ひょう)が建(た)てられています。これは、古(こ)来(らい)より京都・住(じゅう)本(ほん)寺(じ)の信(しん)徒(と)が宿(しゅく)坊(ぼう)として利(り)用(よう)してきたことから建てられたものであり、これをめざして、求(ぐ)道(どう)心(しん)を持(も)った信徒が遠(とお)き道(みち)程(のり)を一(いっ)歩(ぽ)一歩登(と)山(ざん)されてきたことがうかがわれます。

　法(ほ)華(け)経(きょう)には。

「心(しん)懐(ね)恋(れん)慕(ぼ)・渇(かつ)仰(ごう)於(お)仏(ぶつ)（心(こころ)に恋(れん)慕(ぼ)を懐(いだ)き、仏(ほとけ)を渇(かつ)仰(ごう)して）」（法華経　434㌻）

と説(と)かれております。

　私(わたし)たちは、これらの信(しん)仰(こう)の諸(しょ)先(せん)輩(ぱい)より、登山の基(き)本(ほん)精(せい)神(しん)を学(まな)び、無(む)始(し)以(い)来(らい)の謗(ほう)法(ぼう)罪(ざい)障(しょう)消(しょう)滅(めつ)と、広(こう)宣(せん)流(る)布(ふ)を強(つよ)く願(ねが)って日(ひ)々(び)の信(しん)行(ぎょう)に精(しょう)進(じん)し、多(おお)くの人(ひと)を折(しゃく)伏(ぶく)して、その新(しん)入(にゅう)信(しん)者(じゃ)と共(とも)に総本山へ登山することが大(たい)切(せつ)です。