第２３歩
　～少輔公日禅墓所～

　

　客(きゃく)殿(でん)の東(ひがし)側(がわ)の杉(すぎ)木(こ)立(だち)の中(なか)に、少(しょう)輔(う)公(こう)日(にち)禅(ぜん)の墓(む)所(しょ)があり、五(ご)輪塔(りんのとう)が建(た)てられています。

　日禅は、駿(する)河(がの)国(くに)富(ふ)士(じ)上(かみ)方(がた)河(かわ)合(い)（静(しず)岡(おか)県(けん)富(ふ)士(じ)郡(ぐん)芝(しば)川(かわ)町(ちょう)）の由(ゆ)比(い)家(け)の出(しゅっ)身(しん)で、第(だい)二(に)祖(そ)日(にっ)興(こう)上(しょう)人(にん)とは外(がい)戚(せき)の関(かん)係(けい)に当(あ)たります。

　元(もと)々(もと)は天(てん)台(だい)宗(しゅう)・熱(あつ)原(わら)滝(りゅう)泉(せん)寺(じ)の僧(そう)侶(りょ)でしたが、健(けん)治(じ)元（1275）年(ねん)頃(ごろ)、日興上人の折(しゃく)伏(ぶく)によって、日(にち)蓮(れん)大(だい)聖(しょう)人(にん)の弟(で)子(し)となり、自(じ)行(ぎょう)化(け)他(た)の信(しん)心(じん)に励(はげ)みました。

　しかし、翌(よく)健治二年、竜泉寺の院(いん)主(しゅ)代(だい)・行(ぎょう)智(ち)は、日禅らに対(たい)し、法(ほ)華(け)経(きょう)の読(どく)誦(じゅ)を禁(きん)止(し)し、称(しょう)名(みょう)念(ねん)仏(ぶつ)の誓(せい)状(じょう)の提(てい)出(しゅつ)を求(もと)めました。日禅は、これに応(おう)じることなく大聖人の仏(ぶっ)法(ぽう)を固(かた)く守(まも)り、その結(けっ)果(か)、住(じゅう)坊(ぼう)を奪(うば)われて河合に戻(もど)りましたが、その後(ご)も絶(た)えず正(しょう)法(ぼう)護(ご)持(じ)・折伏弘(ぐ)教(きょう)に励みました。

　弘(こう)安(あん)三（1280）年５月(がつ)には、大聖人より大幅(たいふく)の御(ご)本(ほん)尊(ぞん)を授(じゅ)与(よ)され、現(げん)在(ざい)は、総(そう)本(ほん)山(ざん)において厳(げん)護(ご)されて、毎(まい)年(とし)の御(ご)霊(れい)宝(ほう)虫(むし)払(ばらい)大(だい)法(ほう)会(え)の際(さい)、御(ご)宝(ほう)前(ぜん)に奉(ほう)掲(けい)されています。

　また、大聖人御(ご)入(にゅう)滅(めつ)後(ご)も師(し)匠(しょう)である日興上人に信(しん)伏(ぷく)随(ずい)従(じゅう)し、身(み)延(のぶ)離(り)山(ざん)の際も共(とも)に富士に移(うつ)られ、大(たい)石(せき)寺(じ)開創(かいそう)時(じ)には現在の墓所の地(ち)に南(みなみ)之(の)坊(ぼう)を建(こん)立(りゅう)されています。

　日興上人の『弟子分(ぶん)本尊目(もく)録(ろく)』には、

「駿河国富士上方の河合少輔公日禅は日興第一の弟子也(なり)」

とあるように、日興上人の『本(ほん)六(ろく)僧(そう)』の一(ひと)人(り)に選(えら)ばれています。さらに、日興上人の命(めい)により、祖(そ)父(ふ)である河合入(にゅう)道(どう)、また日興上人の母(はは)妙(みょう)福(ふく)の墓所を上(うえ)野(の)に移して、東(とう)光(こう)寺(じ)（現在(げんざい)は日蓮宗）を建立し、日興上人の母妙福の碑(ひ)を立てて河合に妙(みょう)興(こう)寺(じ)（現在は日蓮宗）の基(もと)を築(きず)いています。そして、日禅は、元(げん)弘(こう)元（1331）年３月１２日に遷(せん)化(げ)されました。

　私(わたし)たちは、日興上人の教(きょう)化(け)により弟子となって以(い)来(らい)、大聖人、日興上人に信伏随従し、本宗の信(しん)仰(こう)を篤(あつ)く貫(つらぬ)かれた日禅の姿(し)勢(せい)を学(まな)び、次(つぎ)の御(ご)命(めい)題(だい)に向(む)かって、日(ひ)々(び)の自行化他の信心修(しゅ)行(ぎょう)に一(いっ)生(しょう)懸(けん)命(めい)励(はげ)むことが大(たい)切(せつ)です。