第１１歩　～御　経　蔵～

　

　奉(ほう)安(あん)堂(どう)の東(とう)方(ほう)に御(お)経(きょう)蔵(ぞう)があります。

　この建(たて)物(もの)は、元(げん)禄(ろく)１０（１６７９）年、総(そう)本(ほん)山(ざん)第(だい)２４世(せ)日(にち)永(えい)上(しょう)人(にん)の代(だい)に建(こん)立(りゅう)され、３００年の歳(さい)月(げつ)を経(へ)て老(ろう)朽(きゅう)化(か)が進(すす)んだため、昭(しょう)和(わ)４８（１９７３）年１０月、第６６世日(にっ)達(たつ)上人の代に、現(げん)在(ざい)の場(ば)所(しょ)へ移(い)転(てん)新(しん)築(ちく)されました。

　大(おお)きさは、建(たて)坪(つぼ)１２４平(へい)方(ほう)メートルで、高(たか)さは１３．３メートル、朱(しゅ)塗(ぬ)り唐(から)風(ふう)の入(いり)母(も)屋(や)造(づくり)二(に)層(そう)で、屋(や)根(ね)は銅(どう)葺(ぶき)、内(ない)部(ぶ)には回(かい)転(てん)式(しき)の書(しょ)架(か)である御(ご)書(しょ)庫(こ)が設(せっ)置(ち)されており、明本一切経が格(かく)納(のう)されています。

　また、御経蔵の裏(うら)手(て)には、建(こん)立(りゅう)主(ぬし)である第２４世日永上人、第２６世日(にち)寛(かん)上人、第２８世日(にっ)詳(しょう)上人、そして、再(さい)建(けん)新築された第６６世日達上人の御(ご)歴(れき)代(だい)のお墓(はか)があります。

　一切経とは、釈(しゃく)尊(そん)の教(おし)えである経(きょう)・律(りつ)と、大(だい)乗(じょう)小(しょう)乗(じょう)の人(にん)師(し)論(ろん)師(し)の論(ろん)から成(な)り立(た)ち、さらに後(こう)世(せ)の註(ちゅう)釈(しゃく)書(しょ)・伝(でん)記(き)・史(し)書(しょ)なども加(くわ)えられた仏(ぶっ)教(きょう)聖(せい)典(てん)の総(そう)称(しょう)をいい、大(だい)蔵(ぞう)経(きょう)とも言(い)われます。

　大(だい)聖(しょう)人(にん)様(さま)は、一(いっ)切(さい)衆(しゅ)生(じょう)の不(ふ)幸(こう)の原(げん)因(いん)を明(あき)らかにするために、正(しょう)嘉(か)２（１２５８）年に、岩(いわ)本(もと)（静(しず)岡(おか)県(けん)富(ふ)士(じ)市(し)）の実(じっ)相(そう)寺(じ)の経(きょう)蔵(ぞう)にこもられ、一(いっ)切(さい)経(きょう)の閲(えつ)覧(らん)を始(はじ)められました。その閲覧のかたわら、『一(いち)代(だい)聖(しょう)教(ぎょう)大(たい)意(い)』『守(しゅ)護(ご)国(こっ)家(か)論(ろん)』等(とう)の筆(ふで)を執(と)られています。

　そして、文(ぶん)応(のう)元(がん)（１２６０）年、大聖人様は『立(りっ)正(しょう)安(あん)国(こく)論(ろん)』を完(かん)成(せい)され、宿(やど)屋(や)入(にゅう)道(どう)を介(かい)して、時(とき)の最(さい)高(こう)権(けん)力(りょく)者(しゃ)・北(ほう)条(じょう)時(とき)頼(より)にこの書(しょ)を提(てい)出(しゅつ)され、幕(ばく)府(ふ)を諌(いさ)め、邪(じゃ)法(ほう)に帰(き)依(え)する誤(あやま)りを糾(ただ)されたのです。

　この『立正安国論の提出から７５０年、それが２年後に迎(むか)える平(へい)成(せい)２１年です。この平成２１年に向(む)けて様(さま)々(ざま)な記(き)念(ねん)事(じ)業(ぎょう)が企(き)画(かく)され、準(じゅん)備(び)が進(すす)められていますが、中(なか)でも大(たい)切(せつ)なのが、「地(じ)涌(ゆ)倍(ばい)増(ぞう)」と「大(だい)結(けっ)集(しゅう)」です。私(わたし)たちは、これらの御(ご)命(めい)題(だい)を必(かなら)ず達(たっ)成(せい)するためにも、大聖人様の立正安国の御(ご)精(せい)神(しん)を未(み)来(らい)永(えい)劫(ごう)に亘(わた)って受(う)け継(つ)ぎ、多(おお)くの人(ひと)たちに正(ただ)しい仏(ぶっ)法(ぽう)を語(かた)り伝(つた)え、大聖人様や御歴代上人へ御(ご)報(ほう)恩(おん)申(もう)し上(あ)げることが大切です。

　皆(みな)さんも、ぜひ一(ひと)人(り)でも多(おお)くのお友(とも)達(だち)に一(ひと)言(こと)でもかまいませんから大聖人様の仏法が正しいことを伝え弘(ひろ)めてまいりましょう。