第１０歩　～御　宝　蔵～

　

　客(きゃく)殿(でん)後(こう)方(ほう)の杉(すぎ)木(こ)立(だち)に囲(かこ)まれた所(ところ)に御(ご)宝(ほう)蔵(ぞう)があります。

　この建(たて)物(もの)は、寛(かん)正(しょう)６（1465）年２月、総(そう)本(ほん)山(ざん)第(だい)９世(せ)日(にち)有(う)上(しょう)人(にん)により小(こ)校(あぜ)倉(くら)造(づく)りで建(こん)立(りゅう)され、宝(ほう)暦(れき)１０（1760）年、第３３世日(にち)元(げん)上(しょう)人(にん)により門(もん)を修(しゅう)復(ふく)、また寛(かん)政(せい)２（1790）年に、第３７世日琫(にっぽう)上人により再(さい)建(けん)されました。

　また、第４０世日(にち)任(にん)上人の代(だい)である寛政５（1793）年に修(しゅう)理(り)、さらに第５２世日(にち)霑(でん)上人の代である安(あん)政(せい)４（1857）年に修理が加(くわ)えられ石(いし)垣(がき)が巡(めぐ)らされました。

　次(つ)いで、昭(しょう)和(わ)６（1931）年に、第６０世日(にち)開(かい)上人が外(がい)郭(かく)を整(ととの)えられ、さらに、昭和４３（1968）年、４４年に、第６６世日(にっ)達(たつ)上人が修理を加えられて現(げん)在(ざい)に至(いた)っています。

　御宝蔵は、間(ま)口(ぐち)７．２メートル（４間(けん)）、奥(おく)行(ゆき)９メートル（５間）の規(き)模(ぼ)をもつ銅(どう)桟(さん)葺(ぶき)の土(ど)蔵(ぞう)造(づく)りで、周(しゅう)囲(い)には塀(へい)が巡らされています。

　近(きん)年(ねん)の信(しん)徒(と)増(ぞう)加(か)に伴(ともな)って、現(げん)在(ざい)、御(ご)開(かい)扉(ひ)は奉(ほう)安(あん)堂(どう)において執(と)り行(おこな)われていますが、かつては御宝蔵に本(ほん)門(もん)戒(かい)壇(だん)の大(だい)御(ご)本(ほん)尊(ぞん)が御(ご)安(あん)置(ち)されており、そこに宿(しゅく)縁(えん)深(じん)厚(こう)な信徒が参(さん)詣(けい)して、厳(げん)粛(しゅく)に御開扉が執り行われていたのです。

　御宝蔵内(ない)には、大(だい)聖(しょう)人(にん)御(ご)真(しん)筆(ぴつ)の御本尊や『諫(かん)暁(ぎょう)八(はち)幡(まん)抄(しょう)』『南(なん)条(じょう)殿(どの)御(ご)返(へん)事(じ)』等(とう)の御真筆の御(ご)書(しょ)（重(じゅう)要(よう)文(ぶん)化(か)財(ざい)）をはじめ、御(ご)歴(れき)代(だい)上人御(ご)書(しょ)写(しゃ)の御本尊や諸(しょ)御書の写(しゃ)本(ほん)などの重(じゅう)宝(ほう)が数(かず)多(おお)く厳(げん)護(ご)されています。

　これらの御(ご)宝(ほう)物(もつ)は、虫(むし)などによる破(は)損(そん)を防(ふせ)ぎ、後(こう)世(せい)に末(すえ)永(なが)く伝(つた)えていくため、毎(まい)年(とし)春(はる)に行われる御(ご)霊(れい)宝(ほう)虫(むし)払(ばらい)大(だい)法(ほう)会(え)の折(おり)にお風(かぜ)入(い)れをし、その際(さい)、参詣の信徒に披(ひ)露(ろう)されます。

　私(わたし)たちは、大聖人以(い)来(らい)、約(やく)７００年にわたって多くの御宝物を厳護されてきた代(だい)々(だい)の御(ご)法(ほっ)主(す)上人の仏(ぶっ)法(ぽう)伝(でん)持(じ)の御(ご)精(せい)神(しん)を受(う)け継(つ)ぎ、多くの人たちにこの仏法のすばらしさを語(かた)り伝(つた)え、皆(みな)が幸(しあわ)せな生(せい)活(かつ)を送(おく)れるように願(ねが)っていくことが大(たい)切(せつ)です。